今日、娘が通う保育園の園長先生が主催する読書会に参加しました。1冊の本を題材に合計4回に分けて話し合おうというのがこの会の趣旨。韓国人のママに囲まれて、韓国語の教育本を片手に意見を言うのはハードルが高そうでしたが、内容に興味があったので参加してみることに。
読書会で扱う本は「발도르프 육아예술」という本で、直訳すると「ヴァルドルフ 子育ては芸術」という題名の本。ヴァルドルフ教育は初耳だったのですが、日本ではシュタイナー教育で知られてるみたいですね。
園長先生曰く1920年ごろにドイツで提唱された教育法で、100年前の教育法にも関わらず、今もなお支持されている教育法だそう。
このシュタイナー教育では、未就学児に与えるおもちゃを選ぶ際に参考にすべきことが記載されています。そこで今日は、シュタイナー教育に学ぶおもちゃの選び方についてご紹介していきたいと思います。園長先生が長年子どもの教育に携わりながら、実践し得た結果についても触れたいと思います。おもちゃ選びに悩んでいる、買い与えても子どもがすぐにおもちゃに飽きてしまうという方、少しでも参考になると嬉しいです。
子どもの成長におけるおもちゃの役割
おもちゃ選びのポイント
◉シンプルな色と機能
◉効果音や音楽はなくてもいい!?
◉人形を選ぶ際は穏やかな表情のものを
園長先生おすすめのおもちゃ
まとめ
子どもの成長におけるおもちゃの役割
子どもの成長において「遊び」がどのような役割を果たすか、みなさん考えたことはありますか?
大人の目からは「ただ遊んでいる」だけのように見える「遊び」ですが、実は子どもたちの成長に不可欠な要素を育てる役割を果たしています。
例えば集中力。子どもたちは「遊び」を通して集中力を伸ばしています。1人で車のおもちゃで遊んでいるときも、友達とお店屋さんごっこをするときも、遊びの世界に入り込むために集中するのです。
他にも「遊び」を通して想像力と創造力を育てていきます。例えば、身の回りの物を使って何かに見立てた遊びをするときなど「紙を使って冠を作ろう!」となればそれは創造力ですし、「このブロックは私のお家ね」と言えば想像力が発揮されているのです。
教育の専門家の中には、特に4歳から7歳の時期に集中力、想像力そして創造力が飛躍的に伸びるため、勉強よりも遊びを充実させた方がいいという方もいます。その方が小学校以降、学校で勉強を始めたときの学力の伸び方が変わってくるというのです。
つまり、7歳までの子どもにとって(それ以上の子どもにとっても)遊びはとても大切であり、子どもたちの成長には欠かせないものなのです。「シュタイナー教育」では子どもが遊びで使うおもちゃは、先にあげた集中力や創造力、想像力を伸ばす手助けをしてくれる物であるべきだと言われています。
おもちゃ選びのポイント
子どもの集中力や創造力、想像力を伸ばすサポートをするおもちゃ選びを考える際のポイントが、次の3つです。
- シンプルな色と機能
- 効果音や音楽はなくてもいい!?
- 人形を選ぶ際は穏やかな表情のものを
◉シンプルな色と機能
例えば車のおもちゃを買うとき、消防車やパトカー、ダンプカーなどを買い与えることが多いと思います。大人から見ても細かい細工が施された、かっこいい車を買ってあげたいと思いますよね。しかし、これは「シュタイナー教育」では推奨されていないおもちゃ選び。
というのも、消防車やパトカーのおもちゃは消防車やパトカーの役割しか果たせないからです。消防車やパトカーの代わりに、シンプルなデザインの例えば木でできた車を買ってあげると、その木の車は子どもの発想次第でパトカーにもなれるし消防車にもなれる、他にもダンプカーやスポーツカーにだってなれるんです。
つまり、おもちゃを選ぶときは何か1つの役割しか果たせないおもちゃよりも、子どもの発想や想像次第で何にでもなれるおもちゃ、逆に言えば子どもたちの想像力を邪魔しないおもちゃを選ぶことが大切です。
大人の感覚では、色鮮やかで、本物そっくりにできたものがいいだろうと思ってしまいますが、シンプルデザインのおもちゃの方が、子どもの集中力や創造力を伸ばす手助けをしてくれるんです!
◉効果音や音楽はなくてもいい!?
シンプルなおもちゃにはもちろん、かっこいい効果音や、ボタンを押すと音楽が流れるという機能も必要ありません。効果音も子どもの想像に任せて、子ども達が想像して生み出せるようにしてあげるべきだからです。決まった効果音が出てくるおもちゃだと、子ども達は「トラックの音はこうでなくてはいけない!」と固定観念が生まれてしまいます。また、かっこいい効果音や音楽が流れるおもちゃを、子ども達は最初は面白がって遊ぶことでしょう。しかし、1つの役割しか果たせないおもちゃにすぐに飽きてしまうこともしばしば。その点、子どもたちの想像力が発揮できる、いろんな役割を果たせるおもちゃであれば、子どもたちの想像力次第で遊び方は無限になります。
◉人形を選ぶ際は穏やかな表情のものを
シュタイナー教育では人形の顔も、派手ではっきりした表情よりも、子ども達が頭の中でファンタジーを生み出す出せるような表情を持つ人形が推奨されています。園長先生も経験上、ニッコリと笑った人形だと、子ども達は感情移入がしにくい傾向にあると言います。子どもたちは色んな場面で人形と触れ合います。遊び相手としてだけでなく、時には悲しい気持ちや嬉しい気持ちを共有する相手にもなりうる人形。悲しい出来事があったとき、手に取った人形が満面の笑みを浮かべていると「私はこんなに悲しいのに、私の気持ちも知らないでそんなに笑ってられるの!?」と人形は慰めの役割を果たしてくれなくなるそう。そのため、子どもの気持ちによって少し悲しく見えたり、嬉しく見えたりするような表情が穏やかな人形の方が、子どもの想像力が活かされ、子ども達は長く遊ぶ傾向にあるそうです。
園長先生おすすめのおもちゃ
読書会の中で、園長先生が何度もおすすめしてくれたのが「木の積み木」です。鮮やかな色よりも、子ども達が頭の中で色を想像できるよう、何の色もついていない積み木や淡い色のものがおすすめだそう。子どもたちの創造力次第で、おままごと遊びも車遊びもできる、木のおもちゃ。おままごと遊びがまだできない時期には、積み木を積み上げたり、積み木どうしをぶつけて音を出して遊んだりすることが出来るので、0歳児から長い期間遊ぶことが出来るという点もおすすめだそう!
まとめ
いかがだったでしょうか?「シュタイナー教育」の観点から、子どもの成長を助けるおもちゃ選びについてご紹介しました。
今回読書会に参加し、子どもの成長における「遊び」の役割や、子どもの成長を助けるおもちゃ選びについて園長先生とお話し、おもちゃに対する考え方が変わりました。そして、必ずしもおもちゃが必要なわけではないことも学びました。子ども達にとって、外に落ちている小枝や木の実も立派な「おもちゃ」であるという話を聞いて、おもちゃにカッコよさやキラキラした部分を求めていたのは、母である私の方だったのではないかと反省しました。1つの役割しか果たせないおもちゃでは、子ども達はすぐに飽きてしまいます。おもちゃを選ぶときは「子どもたちの想像力が活かせるもの」という基準を持って選ぼうと思います。