今や韓国だけでなく、世界中で大人気のBTS(防弾少年団)。2022年6月には7人での活動は緩やかに行いつつも、ソロ活動を行っていくことを発表しましたね。世間では「解散」「活動休止」などと騒がれましたが、背景にはメンバーの長男ソクジン(ジン)の軍隊入りが迫っているからと予想するメディアも少なくありません。
そこで今回は筆者本人も気になるBTSの軍隊入りについて、調べてみました。韓国の軍隊制度と、メンバー特にJINの入隊について、鍵となる法改正の行方についてまとめてみました。2030年釜山世界博覧会の誘致活動のアンバサダーとなったBTS。それにより長男Jinの兵役が免除になる可能性も見えてきました!

韓国の兵役と兵役特例
従来、身体基準を満たす韓国人男性は、特例を除いて20歳から28歳の誕生日を迎える前に入隊しなくてはいけません。満18歳から身体基準検査を受けることができ、その検査結果に応じて兵役期間や任務内容が異なります。また、大学や大学院生は入隊時期を延期することができるなどの特例が設けられています。そのほかにも特例が設けられており、そのひとつが兵役特例です。
兵役特例
芸術・体育要員に指定され、ボランディア活動などを時折行いながら34カ月が過ぎると兵役を終えたとみなされる。対象者は、スポーツはオリンピック3位以上とアジア大会優勝者、芸術はクラシック音楽とバレエ、韓国伝統音楽の3区分42大会で2位以上に入った者。
つまり、一部の芸術家やスポーツ選手に対しては、明確な基準をもとに兵役の免除が認められています。
20歳から28歳の誕生日を迎える前に入隊しなくてはいけないのであれば、どうしてBTSのジンは入隊していないの?
2020年8月にBTSの楽曲「Dynamite」がビルボードのヒットチャートで1位を獲得し、韓国の大衆文化を世界に広めた貢献に対して兵役を免除すべきという声が強りました。そして同年11月に韓流スターの入隊を満30歳(厳密には30歳になる歳の12月31日)まで遅らせることができる兵役法改正案が成立し、21年6月から施行されたためです。
この法改正は、文化体育観光部長官が国威船陽に顕著な功があると認めて推薦した人に限って30歳まで入営演技が可能になるよう、あくまで免除ではなく入隊の延期を認めるという内容でした。
入隊延期はオリンピックのメダリストや芸術コンクールの上位入賞者にのみ認められていましたが、法改正により「大衆芸能分野で文化体育観光大臣が国威発揚に顕著な功績があると認めた者」、つまりBTSがそれに加わった形になります。20年12月で満28歳になる最年長メンバーであるJIN(ジン)の入隊延期を念頭にした法案であったのでBTS法と呼ばれるようになりました。
世界的に活躍するBTSが韓国経済に及ぼす影響が大きいというのも、背景にあるんですか?
そうですね。
韓国の黄熙(ファン・ヒ)文化体育観光部長官は、「大衆文化芸術者は国威宣揚の功績が明瞭ながらも、兵役義務を履行するために活動を中断するしかない。明らかな国家的な損失だ」と、BTSが兵役義務につくことで韓国経済に大きな損失をもたらすと指摘しています。
韓国人気グループ、BTS(防弾少年団)がグループとしての活動を一時休止すると宣言したことを巡り、与党「国民の力」の尹相現(ユン・サンヒョン)国会議員は20日、自身のSNS(交流サイト)で「国会はどのような理由があっても(兵役の代替服務を認める)法改正を回避せず、より大きい国益を選択しなければならない」とし、そうしなければK―POPの黄金期が消えてしまう可能性があると投稿した。
ソウル聯合ニュース
入隊の延期なら、いずれはBTSのメンバーも入隊しなくてはいけないんですね…
現時点ではBTSのメンバーもいずれは入隊しなくてはなりません。
ただ、これまで大衆芸術家に対しては明確な基準がなく、兵役特例の対象にならなりませんでしたが、BTSの全世界的な活躍とともに公平性に反するという意見が根強くあります。その結果、21年11月に第2のBTS法が与野党の議員からそれぞれ提出されました。その内容はBTSのような大衆文化芸術家を上記の兵役特例(事実上の兵役免除)の対象に含めるように兵役法を改正するというものです。ある特定の基準を満たす大衆芸術家にも兵役の免除を認めようというものです。
改正案が可決されれば、BTSが軍隊に行かないという可能性もあるということですね!?
そうですね。21年11月に提出された改正案がまだ審議されている途中であるため、BTSの事務所HYBEのCEOも法改正の行方について見守っているという見解を示しています。
ただし、メンバー最年長のJINは今年の12月までで延期期間が満了してしまうため、早急に法改正がなされない限りJINの入隊は避けられないでしょう。
法改正に対して、大統領は「国民の世論が重要だ」としており、韓国の世論調査会社の調査結果によると、BTSの兵役免除に賛成が59%、反対が33%という結果が出ています。一方で、純粋芸術の従事者とは異なり、莫大(ばくだい)な額の富を稼ぎ出すBTSが兵役特例まで受けるのは公正でないとの見方も少なくないようです。
2018年アジア大会1位 VS ビルボード1位
兵役免除に関する議論は、最近始まったことなの?
兵役特例に対する公平性については、アジア大会などの世界大会が開かれるたびに論争が巻き起こってきました。「力も金もない庶民の子どもだけが兵役義務を負うのか」などと、特例自体の廃止を求める意見が相次いでいました。
しかし、2018年のアジア大会修了後、BTSが米ビルボード・アルバムチャートで2度目の1位を記録すると「ソン・フンミンはよくて、防弾少年はだめ」などと、メディアの報道が過熱したため、兵役特例の対象について平等性が問われるように。
アジア大会1位の選手たちは、4週間の基礎軍事訓練だけを受けて社会に出て、体育と芸術分野で34カ月間勤務し、特技活用ボランティア活動を544時間することで兵役を終えることになる。事実上の兵役免除である。今回のアジア大会では全部で42人が兵役免除対象だ。団体戦はたった1分でも走れば該当する。
HANKYOREH
正しい未来党のハ・テギョン議員は、7月に国会国防委員会で「バイオリン、ピアノのようなクラシック音楽コンクールで1位を取れば兵役特例を与えるが、ビルボードチャート1位を取っても兵役特例を与えない」とし、防弾少年団(BTS)の軍免除の世論を取り上げたことがある。
大衆芸術家を特例対象者として認めるのか、認める場合の基準について、法改正の行方が気になるところです!
8月29日国会議員のコメント
2022年8月29日キム・ジンピョ国会議長が2030釜山世界博覧会(ワールドエキスポ)予定地を訪れ、国会レベルの積極的な誘致支援を約束しました。その際金議長は釜山世界博覧会広報大使であるBTS(防弾少年団)の代替服務についても共感を示し、大衆文化芸術分野の兵役特例拡大の必要性を強調しました。
パク・ヒョンジュン釜山市場は「BTSが全世界を回って広報公演を繰り広げればエキスポ誘致に大きな助けになるだろう」とし「現在代替服務制の場合、芸術分野はクラシックに限定され、国会レベルで大衆芸術人も代替服務制対象に含まれるように配慮していただければ幸いだ」と話しました。
これに対してキム議長は「代替服務制の場合、軍隊に行かないのではなく、34ヶ月間公益のために服務する制度で、BTSの場合、国益のために大きな役割を果たすことができる」としています。「クラシックと大衆芸術が融合する公演産業の傾向を現法規が追いついていないが改善が必要だ」という考えを示し、「代替服務制の対象に大衆芸術人も含む法案が与野党議員代表発議で国会に係留されているので検討されてほしい」と答えました。
キム議長はPT(プレゼンテーション)時にBTSなど世界的なスターをサプライズ発表者として掲げる案を提案しています。
誘致期間中にもBTSの力を借りて、誘致に成功したいという考えようです。
そのためにBTSにも兵役特例を活用するべきとの意見のようですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?BTSのファン(アーミー)としては、7人を応援しながらも、いつか軍隊に行き約2年間の間彼らの活躍を見ることができないという不安もありますよね。現時点では改正案の行方を見守るしかないという状況です。気になる改正案の動向については別記事でもまとめていきたいと思います。